以前の記事でも書いたのですがHUNTER×HUNTERの作者である冨樫先生が、「ドラゴンボール」の影響を受けて数々のオマージュを作品中に取り入れていることは、ファンの間ではよく知られています。
そんな数々のオマージュの中でも特に気になったことの一つ、
HUNTER×HUNTERに登場するキメラアントの王「メルエム」と、ドラゴンボールに登場する人造人間「セル」の共通点が色々と考えられる事について見ていきたいと思います。
関連記事:【HUNTER×HUNTER】ハンターハンターのドラゴンボールオマージュ【鳥山明リスペクト】

見た目

キメラアント編が進行し、ついに女王蜂の腹を突き破って誕生した王メルエム。
その姿を見た多くの読者の脳裏によぎったのが「セル」の姿でしょう。
元の生物が何なのかよく分からない頭の造形や、いかにもな尻尾の形。そのままドラゴンボールの世界に登場しても違和感なく敵キャラとして成立しそうです。
当初はあの尻尾でセルのように人のエネルギーを吸収したりするのかなとも思いましたが、さすがにそこまで同じではありませんでした。

完全体になったセルにはあの長い尻尾は無くなってしまいましたが、メルエムには尻尾があるところを見ると、第1形態のセルと完全体のセルのいいとこ取りのようなデザインになっていますね。

個人的には、こういうキャラクターたちの股間がどうなってるのか気になる..
圧倒的な強さとカリスマ性

メルエム・セル両者共に物語中最強クラスの強さを誇り、主人公サイドを苦しめる難敵として立ちはだかりました。

単なる悪役というだけでなく、独自の哲学や目的を持ち、読者に強い印象を与えるカリスマ性を備えていているため、読者にも根強い人気があることも共通しています。
異世界から来た超常的な生命体
HUNTER×HUNTERの世界においてメルエムはキメラアントという外来種の生物の頂点に君臨する王という存在で、そのルーツは世界の外側である暗黒大陸にあるとされています。

対してドラゴンボールに登場するセルは、未来の世界からタイムマシンを使って未来の世界から現世に現れたという設定になっています。
どちらも異世界から現れた超常的な生命体なのです。
他者を喰うほど強くなる

メルエムの能力(というか特性)として、獲物を食べるほど強くなるというものがあります。
特に強いオーラを纏った者を「レアモノ」と呼び積極的に捕食していました。
セルとは違ってまさに直接口で「食べる」のです。
女王蟻の胎内にいる頃から「レアモノ」は積極的に王の栄養源として供給されており、キメラアント全体がとにかく「強い王を生む」ために動いていたため、あれほど強大な力を持つ王が誕生したのです。

一方セルは、その尻尾を使って対象の生体エネルギーを吸収します。
初期形態の頃は一般人を襲いまくり、力を蓄えていきました。
そして、本来は味方であるはずの人造人間17号や18号を吸収することで飛躍的にパワーアップし、完全体へと進化を遂げました。

当時の僕は大戦犯のクリリンが許せなかった…
様々な生物の細胞を取り入れた複合体

キメラアントの女王は、捕食した生き物の特性を次世代に反映する「摂食交配」により、様々な姿形をして様々な能力をもった個体を生みます。
そんなキメラアントの王であるメルエムには、捉えた餌のなかでも特に栄養価の高いものが供給され続け、全ての生物の頂点として君臨すべく誕生しました。
様々な生物の優秀な部分が濃縮されて煮詰まりまくった、いわばサラブレッド中のサラブレッドが王メルエムなのです。

一方セルは「RR軍」の科学力によって生み出された人造人間で、それまで物語に登場した様々なキャラクターたちの細胞を取り入れて造られています。
そのため悟空やベジータたちだけでなくフリーザなどの気までも感じさせ、各キャラの技や能力を有する厄介な敵として登場しました。
瀕死の状態からの復活で更に強く

ネテロ会長との戦闘の末、貧者の薔薇の爆発によって瀕死にまで追い込まれたメルエムでしたが、駆けつけたユピー・プフの細胞を摂取する事で復活を遂げました。
復活した王メルエムはユピーとプフの細胞を取り込んだ事で二人の能力をより高次元で扱えるようになりオーラの強さも遥かに増して、ナックルに「国家レベルの武力が要る」と瞬時に悟らせる程でした。
もはやハンターたちが束になって戦っても到底勝てる気がしないほどに強化されてしまった感がありましたが、ご存知の通り最期は”貧者の薔薇”の毒によって倒れる事となり、キメラアント編は終息へと向かいました。

そして一方セルは、怒りによって覚醒した悟飯に完膚なきまでに叩きのめされ追い詰められた事で自爆。幸運にも頭の核が傷つかず残っていたため全身を再生することができ、パワーアップして復活しました。

爆発からの復活ってところも同じ…
セルにはサイヤ人の細胞も組み込まれていたため、瀕死から復活すると大幅にパワーアップするというサイヤ人の特性が作用したのです。
最終的には、かの有名な「親子かめはめ波」によってセルを撃破するという王道的なアツい展開でセル編は幕を閉じました。
強者への称賛

初めはただ傍若無人で暴力こそ全てといった印象のメルエムでしたが、コムギと出会い軍儀を打つ中で成長し、他者をリスペクトする心が芽生えました。
直接戦ったネテロに対しては人間の個としての極致だと言い、一定のリスペクトを持って接していました。

「セルゲーム」の初戦から悟空が戦うという読者としても驚きの展開。その戦いの中でセルは悟空の戦闘能力の高さを称賛し、戦いを楽しんでいます。
セルの中のサイヤ人の血がそうさせたのかもしれません。
まとめ

冨樫義博先生がドラゴンボールを意識的にオマージュしていると思われるものの1つである、キメラアントの王メルエムと人造人間セルについての共通点を挙げてみました。
- 見た目
- 圧倒的な強さとカリスマ性
- 異世界から来た超常的な生命体
- 他者を喰うほど強くなる
- 様々な生物の細胞を取り入れた複合体
- 瀕死の状態からの復活で更に強く
- 強者への称賛
その見た目の雰囲気以外にも、たくさんの共通点があり、メルエムというキャラクターが如何にセルを意識して描かれているかがわかります。
しかし単純にパクったというのではなく、これだけ似た要素がありながらもしっかりと魅力的なキャラクターとしてキャラクターが立っていて、セルとは違う部分もたくさん描かれていてHUNTER×HUNTERの物語に深みを増しています。
特にキメラアント編の最終盤のコムギと最期を迎えるシーンなんかは、ドラゴンボールの世界観では考えられないような終わり方で、メルエムだからこそああいう終わり方になったのでしょう。
ドラゴンボールのような王道的なアツい戦いの果てに敵を打ち負かす展開も、HUNTER×HUNTERのように悲しい余韻を残して最後を迎える展開も、どちらにもそれぞれの良さがありますね。

もちろんドラゴンボールもハンターハンターも大好きな作品です。