ドラムセットを叩くうえでスローン(イス)の存在は不可欠なのですが、それ自体は直接音を出す楽器ではないので蔑ろにされがちです。
でも、たかがイスと侮る事なかれ。
ドラムセットには必要不可欠な、まさにドラマーを支える縁の下の力持ちであるドラムスローンについて、基本的な内容や抑えておきたいポイントをご紹介。
ドラマーとしての隠れた必須知識。スムーズで美しい演奏のためにも、スローンについて知っておきましょう。
イスなら何でもいいんじゃないの?
ドラムスローンは家庭で使う椅子や事務用椅子などと違い、ドラマーがドラムセットを叩くために最適な造りになっています。
「家庭用の椅子などではドラムを全く叩けない。」という訳ではないですが、そこはやはりドラムスローンがドラム演奏に最適になるように作られています。
高さを手軽に調節出来るようになっていたり、座面の形や質感やがドラム演奏に適したものであったり、演奏中の激しい動きに耐え得るように軸足が強く出来ていたりと、一般的な椅子とは違った構造にになっています。
また、一口にドラムスローンと言っても、座面の形や高さ調節の方法など、製品によって様々なタイプのものがあります。
では、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。
軸の部分に触れるんじゃねぇ!
この軸部分には滑りを良くするための潤滑油がベッタリと付いています。あぁっ…!不用意に触れてしまうと手が真っ黒のベタベタに…!
特に初心者がやりがちなミスのひとつ(ドラマーなら誰もが一度は通る道)なのでご注意を!
イスの高さはどのぐらいがいい?
「立ち上がった状態で、椅子の座面が膝の高さぐらい」を基準に考えましょう。それより少し高いか低いかを、好みによって微調整します。
一般的には、低めにセッティングするほど力強くパワーのある音に、高めにセッティングするほどスピード感のあるフットワークが可能になる。と言われます。
基準よりあまりに高すぎたり低すぎたりするのはドラム全体の演奏がしにくくなり、音にもかなり影響してしまうのでオススメしません。
スローンに座ってフットペダルに足を置いたとき、「太ももがやや下がり、膝の角度が直角よりもやや開いている程度」が標準的な高さとバスドラまでの距離感と言われています。
座面の形はどんなタイプがあるか
丸型
最も一般的で見かけることが多いのがこの丸型。
初心者から上級者までオススメ。基本的には丸型のスローンが万能で使いやすいです。
少し浅めに腰掛けるぐらいがベター。
サドル型
自転車のサドルのような形で、座り心地はガッチリとお尻にフィットして安定する感じ。
深めに腰掛けても座面が邪魔にならないので、深く座って安定感が欲しい人にはオススメ。
背もたれつき
腰の高さ程度の背もたれが付いているタイプ。
背もたれとは言っても、演奏中にもたれかかってラクをするための物ではありません。
どちらかと言うと、胸を張るように姿勢良く座るためのサポートになるイメージです。
ドラムを叩く時に猫背になってしまうのが気になる方は、背もたれつきのスローンを使う事で良い姿勢を意識出来るので、姿勢の改善に役立ちます。
姿勢が良いと見た目もカッコよく、音にもキレが生まれるので、試してみる価値はありそうです。
スクエア型
座面が四角く、足との接触面が多くなるので丸型に慣れていると違和感があります。ドラマーによって好みの分かれる座面だと思います。
スローンを基準よりも低めにセッティングする場合には安定感が増すので、パワフルなロックドラマーの方は使ってみる価値アリ。
高さ調節の方法はどんなタイプがあるか
回転式
価格、利便性、耐久性を総合的に見て、一番オススメなのがこのタイプです。
誰にでも使い方がわかりやすい。
座面をくるくる回すことで高さを調節出来ます。
右回転で下げる。左回転で上げる。
丸型の座面であれば、回転させた時に座面の向きを調整する必要がないので楽ちんです。
クランプ式(ネジ固定式)
価格が安いのがメリット。
チューニングキーなどを使ってネジを緩めて高さを調節する必要があるので、頻繁に高さを変えるような場合は少し面倒なタイプ。
正しく丁寧に扱えばあまり問題はないです。
何度も調節をしてネジが劣化してくるとかなりの力で締める必要があったり、ネジ締めが緩いと演奏中にガクンっと座面が下がったり。
最悪の場合完全に壊れてイスの高さの調節が不可能になる場合も。
古びたスタジオやライブハウスなどでよくあるパターンです。
ガスリフト式
レバーを上げ下げする事で高さ調節が出来る、事務用のイスなんかによくあるヤツです。
座りながら簡単に高さを微調整出来るので快適ですが、その分価格は少しお高めになります。
その他の要素
座面シートの素材やカラーバリエーションなど、メーカーによって様々なものがあります。
客席側からは全く見えない自己満足の世界ではありますが、自分用のスローンを買うのであればこだわりたいですね。
イスに座る時の姿勢
ドラムに向かって座る時は、少し胸を張って背筋を伸ばして座る事を意識しましょう。
僕自身もそうですが、何気なく座っていると猫背になってしまいがちです。
姿勢良く構えたほうが見た目もカッコよく、正しいフォームで叩く事でサウンドも洗練されていきます。
猫背で叩く癖が着いてしまうと腰への負担が蓄積し、いずれ身体に深刻なダメージを与える可能性があります。
長きに渡ってドラムと付き合って行くために、正しい姿勢を意識しましょう。
カホンに座るという荒技
スローンではなくカホンに座っておく事で、場面に応じてドラムとカホンを叩き分けるというパフォーマンスが可能です。
ドラムプレイの幅が広がって面白いですし、オーディエンスの目を惹きつけることも出来ますね。
しかしカホンはドラムスローンと違って高さの調節が出来るモノではないので、その高さが自分の体格やプレイスタイルとマッチするなら…ですが。
基本的には場面や状況に応じて使い分けるのがベターです。
おわりに
今回はドラマーなら誰もが無意識に使っているであろうドラムスローンについて、基本的な事柄をご紹介しました。
楽器そのものとは違いあまり意識される機会はないかもしれませんが、ドラムセットに向かい合う時は誰もが必ず使っているものです。
今一度、基本的なドラムスローンのセッティングについて見直してみると、自身のドラム演奏全体にきっと良い影響があるはずです!
コメント
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先のルビのミスもですが、貴方がバグってるだけです笑