ドラムを始めて練習を重ね、人前で演奏する機会が増えて場数を踏むほどに、さまざまなトラブルに見舞われることも多くなります。
今回はそんな、ドラマーが遭遇しがちなトラブルをまとめました。
まだドラムを初めて間もない初心者でも、知っておいて損はないはずです。
ライブの曲中で最悪のトラブルに見舞われて演奏ストップ…なんてことにならないように、事前に対処できることにはしっかり対応しておきましょう。
スティックを落とす
ドラムでのトラブルと言えば、まず誰しも経験するのがそう、ジェットスティック。(←僕が勝手にそう呼んでる)
特に初心者のうちはスティックの握り方が不安定だったり、手に汗をかいて滑りやすくなってしまうことは多いです。
上級者でも割とよくあるトラブルなので、演奏中にスティックは落とすものだと考えて、必ず予備のスティックを常備しておきましょう。
すぐ手に取れる位置に予備スティックを用意しておけばすぐにリカバリー出来るので、バンド演奏全体への被害はさほど大きくならなくて済みます。
もし予備スティックを置いていなかったら最悪の場合、楽曲をストップせざるを得なくなります。必ず予備をセットしておくことをオススメします。
スティックが折れる
基本的にはスティックを落としてしまった時と同じく、折れてしまった場合もサッと予備のスティックに持ち変えることができればさほど問題ではないですが、ライブ本番中などの大事な場面では極力トラブルは避けたいものですよね。
スティックは消耗品なので、使用し続けていれば当然いつか折れてしまいます。
なので大事な場面では新品のスティックを使うようにしたほうが無難です。
また特に初心者の人は、自分が使っているスティックがどんな素材で出来ていてどんな特徴があるのかを知っておくことも大切です。
昔の僕のように、「軽くて速く叩きやすいから」ってメイプルのスティックでハードロックのライブに臨んだりすると痛い目にあうことに。
シンバルスタンドが頭を垂れる
これもしばしば起こる、ドラマーあるあるなトラブル。
演奏中に突如、シンバルスタンドがヘニャっとあらぬ方向へ倒れることがあります。
これが起こると演奏中はそのシンバルがほぼ使えなくなってしまいますが、他のシンバルでフレーズを補うことも出来るので、場合によってはまだ対処はしやすい部類のトラブルですね。
しかし倒れる角度によっては他の太鼓類の邪魔になったり、音響マイクに当たってしまい演奏を中断することになる恐れも。
原因はシンバルスタンドの関節部分のネジの緩み。
大勢のドラマーが共有して使うスタジオやライブハウスのドラムセットでは、どうしても振動や衝撃で徐々にネジが緩んできてしまいます。
こまめに確認しておかないといつか起こってしまうことなので、特にライブ直前などには各部のネジがしっかり締まっているかを確認しましょう。
自分だけでなく、そのドラムを共有する他のドラマーさんのためにも。
ハイハットのロッドが外れる
ハイハットペダルを激しく踏んで開け閉めしていると、ハイハットスタンド内部のロッドが外れてしまうことにより、ハイハットの開け閉めが出来なくなってしまうことがあります。
こうなってしまうと一度分解して治さなければいけないので、演奏中に対応することはほぼ不可能。
曲によってはライドシンバルで代用するなど出来なくもないですが、ハイハットの開け閉めを多様するような、キレを重視する曲であれば致命的。
ハイハットがどういう構造になっているのかを普段から把握しておかなければそもそもの治し方すらもよく分からず慌てることになってしまいます。
時間のある時に、一度ハイハットを自分で分解してみて構造を把握しておくことをお勧めします。
演奏前にしっかり確認して固定しておきましょう。
スナッピーの入れ忘れ
バラードなどのドラムが入っていない静かなパートでは、他の楽器の低音などと共鳴してスナッピーのザラザラ音が鳴ってしまうのを防ぐためにスナッピースイッチを外しておくことはドラマーのマナーとしてはGOODです。
しかし、スナッピーを入れ忘れたまま演奏に入ってしまうと、ここ一番のスネアでバシッとキメたい場面で“ポン”という間抜けな音になってしまい、雰囲気が台無しになってしまいます。
機材の故障などとは違ってすぐに立て直すことは出来ますが、演奏をシラけさせないために、スナッピーの入れ忘れには注意しましょう。
スナッピーコード(ヒモ)が切れる
僕が実際に経験したトラブル。
スナッピーがベルトタイプではなく紐で結びつけるタイプのスネアを使っている人は特に要注意。
演奏中、スナッピースイッチはオンになっているのになぜが急にスネアの音のキレがなくなり、ポンポンという音に…。
やむ無く演奏を中断して確認すると、スナッピーコード(スナッピーをスネアに接続するための紐)が切れてしまっていました。
スナッピーの取り付けなんて頻繁にすることでもないので、構造や取り付け方を把握しておかないと復旧に結構な時間を要してしまいます。
また、着け外しのためにドライバーが必要になることもあるので、状況によってはすぐに対応することが難しいかもしれません。
スナッピーコードは消耗品なので定期的に確認・交換しましょう。
より耐久性の高いタイプもあります。頻繁に交換するのが面倒な人(私です。)にはこちらがおススメ。
ペダルのビーターが外れる
キックペダルのビーター部分のネジが緩み、ポロっとビーターがおさらばしてしまう現象。
ドラムの音の要ともいえるバスドラムが演奏不可能に。
こうなってしまうと演奏中に治すことはほぼ不可能。演奏をストップせざるを得ない状態に。
バスドラムの代わりにフロアタムを叩いて低音を補うことも出来なくはないですが、かなり演奏に制限がかかってしまいます。
ドラムのリズムの根幹を成すバスドラムの低音が抜け落ちてしまうと、バンドメンバーもオーディエンスもすぐにその異変には気付くレベルで、演奏しながらの復旧はまず不可能でしょう。
ビーターのネジは定期的に確認し、ライブ前などは特にしっかり確認して締めておきましょう。
バスドラムやハイハットが徐々に遠のく
古びたスタジオや簡易的にドラムを設置しているライブバーなんかでありがちなトラブル。
演奏中の衝撃や振動で、少しずつ楽器が足元から遠くへ移動していきます。
はたから見ると気付かれにくいけど、ドラマー自身にとっては地味に嫌なトラブル。
一曲演奏し終える頃には手足を目一杯伸ばしても届かないぐらいに遠のいている事も…。
対応策としてはドラムのセット下に滑り止めマットを敷いておくことや、バスドラムの前にコンクリートブロックなどの重りを設置しておくことが挙げられますが、こればかりは一ドラマーがどうこうする事というより、ドラムを設置しているお店や会場の対応が大切ですね。
もしあなたがそういったお店のオーナーさんであるならば、是非何らかの対処はしておいて頂きたいと思います。
また、ドラマー側としてもそういった恐れがある場合は事前にお店の方に相談して対策を考えたり、極力衝撃を抑える叩き方をするなどの工夫をしましょう。
バスドラムを支える足の部分には、機種によっては踏ん張りが効くようにするための突起が付いています。
先端をネジのように回すことで突起を出すことが出来るようになっているので、演奏前に確認しておきましょう。
これを利用することでバスドラムがズレるのをある程度軽減出来るはずです。
スローン(イス)がストンと落ちる
ドラマーは各々、演奏前に自分の演奏しやすいようにスローン(イス)の高さを設定します。
多くのドラムスローンは座面をくるくると回転する事で高さを調整出来るようになっていますが、よく見てみるとイスの軸を固定するネジが存在するはずです。
そのネジの締め付けが甘くなっていると、演奏中に突如、“ストン”と最低の高さまでイスが落ち込むことがあります。
急にそんな事が起こればかなりびっくりしますし、演奏にも当然支障が出ます。
ベスポジに設定されていたはずのイスの高さが急に変わると、めちゃくちゃ叩きにくくなります
場合によってはまともに演奏するのが困難にもなり得ます。
客席から見てもかなり間抜けな感じで笑われるトラブル。空気感を大切にするバンドであれば尚更気を付けたいところですね。
ドラムスローンのネジも、演奏前には必ず確認して締めておきましょう。
スネアやバスドラムのヘッドが破れる
これがライブ中に起ころうものなら、絶望度はMAX。
タム類ならまだしも、スネアのヘッドが破れてしまうと演奏を止めざるを得ないばかりか、ヘッドの交換にはかなりの時間がかかってしまうので、ライブの進行に深刻な影響を与えかねません。(ライブ中にスネアのヘッドを交換するのは現実的ではないので、他のドラマーさんにお借りすることになるかと思います。)
そして特に、バスドラムのヘッドが破れたとなれば、交換作業に多大な時間を要することになります。
ライブハウスによっては替えのヘッドが無いという可能性すらあります。そうなると自分たちだけでなく、その後の他のバンドさんのライブ演奏自体が行えなくなることも…。ああ恐ろしや…。
予防策としてはやはり、定期的にヘッドを交換することです。
相当無茶な叩き方をしたりさえしなければ、突然ヘッドが破れるなんてことは起こらないはずです。
打面がボコボコと変形してきたり、表面のコーティングがハゲてきたりと、明らかに見た目で古くなってきたとわかるはずなので、大事なライブ前などには新しいヘッドに交換しておくことをおすすめします。
バスドラムのヘッドに関しては、マイバスドラなんて落ち込む人はほとんどいないと思うので、基本的にはライブハウスやスタジオ次第ですが、無茶な使い方は絶対にしないように心掛けましょう。(ペダルのビーターの先端を取り外して軸だけの状態で使用する…とか。)
もし不安であれば、インパクトパッド(打面に貼るシール)を使うことも検討しましょう。
まとめ【演奏前にネジ締め確認せよ】
「ドラマーあるある」とも言える、よくあるドラム演奏中のトラブル。
今回、多くのドラマーが陥りがちなトラブルを中心にまとめました。
ドラム歴20年余り
実際に僕も、これらのトラブルはほぼ経験してきました。
…しかもライブ中に。(さすがにライブ本番中にヘッドが破れたことはないですが。)
御覧の通り、多くのトラブルを防ぐために大切なのが、各部のネジの締まりを確認することです。
とにかく、事前の確認が大事。何度でも言います。確認、大事!
ライブ直前に細かいチューニングを気にしたりするのもいいけどそれよりも、ネジ締めの確認を!
いくら練習を重ねて完璧に演奏できる自信があっても、突然の機材トラブルが全てを台無しに…。
そんなことになる前に。
事前に防ぎ得るトラブルは全力で回避しましょう。
それでも予想外のトラブルが発生したりするのが、ライブの恐ろしいところなんですけどね。
おしまい!
おまけ
爆音で演奏中だからって、屁こいたの誰も気付かないとでも思った…?
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