ハンターハンターにおける「設定の使い捨て」について

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HUNTER×HUNTER
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岡田斗司夫さんのニコ生ゼミでも語られていた、HUNTER×HUNTERにおける「設定の使い捨て」について、ご紹介したいと思います。

HUNTER×HUNTERの面白さについて語られるとき必ず挙げられるもののひとつに、念能力などの「細かく作り込まれた設定」があります。

その細かい設定が物語をより面白く味わい深いものにしているのがHUNTER×HUNTERの魅力なのですが、作者の冨樫義博先生はそういった設定をチャプターごとに使い捨ててしまうことがあります。

せっかく登場した設定が、しばらくして物語が新しいチャプターに入ると全く触れられなくなってまるで無かったことにされてしまうのです。(厳密には無かったことになるというより、当たり前の事として触れられなくなる感じ)

そしてまた新章に入ると新たな設定が登場し、我々読者をワクワクさせてくれるんですけどね!

今回はそんな「設定の使い捨て」について見ていきましょう。

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念能力の基本「念系統」と「メモリの無駄遣い」

出典:集英社 HUNTER×HUNTER6巻 冨樫義博

「念能力は自分の系統に合った能力にするべき」という大前提。

念能力の設定が登場した天空闘技場編やヨークシン編ではその設定が大いに活かされて、各キャラクターが各々の系統に沿った能力の中で工夫して戦う様子が描かれていました。

自己系統を疎かにしたカストロはヒソカに「メモリの無駄遣い」と烙印を押され退場することに。

まさにヒソカは自分の系統に合わせた能力を効率よく駆使して戦っています。

しかし連載が続きストーリーが進むにつれ、新たに登場するキャラクターたちの能力が多様化・複雑化し、一概にどの系統に属するのかが説明しづらい能力も多くなってきています。

例えばグリードアイランド編で登場したゴレイヌの能力“白の賢人・黒の賢人”なんかは、具現化系・放出系・操作系の力を複合的に使ったもので、ゴレイヌ自身がかなり高次元で全ての系統を扱える猛者でない限り説明がつきません。

最近では、ポッと出のキャラクターたちがどう考えても複数の系統をめちゃくちゃ高度なレベルで扱えないと成り立たないような能力をさらっと使ってたりするので、古参読者としては疑問が残ってしまうのです。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER38巻 冨樫義博

▲この人の能力もアジト限定の制約があるとはいえ、複合系統能力でめちゃくちゃ強すぎる…

どんな能力も「特質系」と言ってしまえばそれまでなんですが、やはり特質系は作中でも語られている通りかなり珍しい系統であるだけに、無闇に登場させて価値を落として欲しくないんですよね…。

「念系統に合わせた能力」という概念を今一度見直してほしいところ…。

オーラの攻防力移動「流」

出典:集英社 HUNTER×HUNTER15巻 冨樫義博

グリードアイランド編の道中、ビスケとの修行の際に取り上げられていた「オーラの攻防力移動」という概念。

攻撃の瞬間に素早く拳にオーラを込めて殴ったり、敵からの攻撃をガードする瞬間にオーラで特定の部分を守ったりと、戦闘の中で瞬間的なオーラの流れを意識して戦う事をゴンたちは修行によって身に付けていきました。

そう言った、瞬間的にオーラを必要な部位に移動させる技術を“流”ということが明かされました。

ゴンvsゲンスルー戦でも、敵からの攻撃をガードする部分のオーラの比率と攻撃に使うオーラの比率をどうするかを意識しながらの戦いになっていました。

ゲンスルーに両腕を掴まれ“一握りの火薬リトルフラワー”によって爆破された時も、「片腕に何%のオーラでガード、足に残りのオーラを集中して攻撃」というように、オーラによる攻防力の移動を意識した描かれ方になっていました。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER18巻 冨樫義博

▲オーラ攻防力を左手に20%足に80%ほど偏らせて反撃した結果、ゴンは左手を失うことに

しかしその後のキメラアント編以降、こういったオーラの攻防力移動の概念は描かれなくなり、シンプルに能力がぶつかり合うバトルが展開されるようになりました。

修行も積んでいない念を覚えたてのキメラアントたちが“流”を駆使して戦えていたのかは謎…。

オーラの量の数値化

出典:集英社 HUNTER×HUNTER20巻 冨樫義博

キメラアント編にて、ナックルが言っていた印象の強い「オーラ量」の概念。

単純に数値が高ければ高いほど内包するオーラの量が多いので念での戦闘において有利であるのは確かです。

ナックルの能力“天上不知唯我独損ハコワレ”は相手のオーラ量をある程度見積もっておく必要があるため、「オーラの数値化」という概念が自然に物語に登場しました。

こういった「戦闘能力の数値化」と言えば真っ先に「ドラゴンボール」が思い出されます。

主人公が物凄い数値の戦闘力を秘めているという点や、敵キャラが主人公サイドを遥かに凌駕するほどの莫大な数値を誇っていて絶望的な状況に陥る…という流れは少年バトル漫画のお約束でもあり、HUNTER×HUNTERにおいてもその流れは踏襲されていました。

あきひと
あきひと

戦闘能力の数値化って、分かりやすくて何故かワクワクするんですよね!

しかしキメラアント編が終結して以降、この「オーラ量の数値化」は全く登場しなくなりました。

とはいえHUNTER×HUNTERの面白さは単純な戦闘能力の高さというよりも、能力の相性や頭を使ったトリッキーな戦いにあるので、単純に数値化出来るものではないのでしょうけどね。

キメラアントのとんでもない力を象徴する為にあえて使い捨てされた設定だったのかもしれません。

キャラクターさえも使い捨てる?

HUNTER×HUNTERにおいて、「一度全力を見せたキャラクターは同じ戦いを見せない」という説。

底を見せたキャラクターは物語から退場する と言われています。

メルエム戦で武道家としての全力を出し切ったネテロ会長は貧者の薔薇によって自爆。

ネフェルピトー戦でゴンさん化して限界を超えた力を見せたゴンは念能力が使えなくなり、「主人公」という肩書きすら外され物語の中心から降りた状態です。

ナニカ(アルカ)という反則級の力を使えてしまうキルアも物語から退いている状況です。

そんな中でまだまだ能力を見せていないジンや、伸びろが大きいと評価されるレオリオの活躍が今後期待されます。

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