ドラムを叩く時、あなたは3点セットと4点セット、どちらのセッティングがお好みですか?
どちらにもそれぞれの良さがあり、一概にどちらが良いとは言い切れません。
この記事では、3点セットと4点セットそれぞれにどんなメリットがあって、どんな違いがあるのかを解説します。
自分のプレイスタイルや演奏する曲のジャンルを考えて、どちらのセッティングにすべきかの参考になればと思います。
ドラムの3点セットと4点セットって何?
初心者には3点セットがオススメ。
シンプルなロックや速い曲は3点セット。テクニカルな曲やメロディアスなフレーズを聴かせたい曲は4点セットのイメージ。
3点セットと4点セットとは どんなの?
ドラムのセッティングの話をする時の「3点セット・4点セット」と言うと、バスドラム、タム類、フロアタムの数の合計点数を言います。
スタジオやライブハウスでよく見るドラムセットの基本形が「4点セット」の状態です↓
タムが2つ(ハイタムとロータム)とフロアタム、そしてバスドラムの合計「4点」ですね。
そこからタムを1つ取っ払った状態が「3点セット」ということになります↓
タムが1つとフロアタム、そしてバスドラムの合計「3点」です。
これらの「3点」や「4点」にスネアやシンバル類を加えて「ドラムセット」ができています。
初心者には3点セットがオススメ
3点セットにしてドラムを叩く場合、標準の4点セッティングからロータムを取り除いた形で演奏します。
そして、ロータムがあった位置にライドシンバルを設置します。これが3点セットの最大の特徴であり、メリットなのです。
ロータムの位置にライドシンバルがあるとシンプルに叩きやすいんです。
例えばライドシンバルで8ビートを叩く時、4点セットの場合よりも腕を外側に開く必要がなく、少ない動きで演奏出来るので腕がラクで叩きやすいんです。
タムが一つ少ないと演奏が不自由になるのでは?と疑問に思うかもしれませんが、実際は案外そうでもなかったりします。
確かに、演奏する曲によっては4点セットじゃないと困る場合もありますが、そういうケースの方が稀なのです。
実は、タムが一つ少なくてもあまり影響なく曲を演奏できる場合が多いのです。
特に初心者のうちは、そもそもタムをそこまで厳密に使い分ける必要のある曲を演奏する機会は少ないはず。
ならばそれよりも、3点セットにすることでセッティングやチューニングの手間を省き、シンプルなドラムセットで腕の動かし方や太鼓の鳴らし方にこだわって練習を重ねた方がドラマーとしての成長に繋がります。
3点セットのいいところ
前述の通り、ライドシンバルまでの腕の移動距離が短くなり叩きやすいのが3点セットのメリットです。
そのため早いフレーズに対応しやすいので、パンクやロックに向いています。
クラッシュとしても使用しやすい位置にライドシンバルがあるので、ガンガンクラッシュシンバルを鳴らすようなラウドなロックをやる場合は特に3点セットの本領が発揮できます。
ラウドロックなどでライドシンバルをクラッシュシンバルのようにも使いたい場合「クラッシュライド」を使えば、より一層ロックらしいサウンドが得られます。バンド全体の音圧を底上げし、ロックバンドとしてのレベルを一段階引き上げてくれるアイテムです。
そして3点セットは「シンプルな構成であるため演奏に迷いが生じにくい」という点もメリットの一つです。
アレコレ考えることで演奏中に迷い箸してしまうのは良くないですからね。
ロック=3点セット みたいな共通認識がドラマーのみならずバンドマン全体になんとなく存在します。
見た目や気分から入るのもバンドには大事だったりするので、ロックバンドをやるならとりあえず3点セットで叩いた方がバンド全体としてのバランスがよく見えたりもします。
4点セットのいいところ
太鼓の数が多くなるということは、その分いろんなフレーズやメロディアスなフレーズに対応出来るということ。
当然ながら3点セットに比べて表現の幅が広がります。
テクニックで魅せるドラム・聴かせるドラムを目指すのであれば、4点セットの方が表現しやすいですね。
4点セット、もしくはそれ以上にタムを設置するなら、タム類はしっかり音の高低差を意識したチューニングを心がけたいところ。バンドの中で他の楽器の音に埋もれてタムの綺麗な音程が聴こえ辛いなら、4点セットで演奏する事の良さが薄れてしまいます。
故にチューニングも含め、演奏に求められる技術は4点セットを扱うほうが高いレベルが求められると言えます。
ドラマーなら誰もが一度は憧れる「要塞」
4点セットでは飽き足らず、さらにタムを1つ追加したりフロアタムをもう一つ設置しているドラマーは数多くいます。
叩ける太鼓やシンバルの数が多くなるとドラマーはなんとなく楽しくてテンションが上がりますよね。
自分好みの音を求めて、一つ二つと太鼓やシンバル等をドラムセットに追加し続けた多点セットの成れの果てが【要塞】と呼ばます。
世界的ドラマーのテリー・ポジオ氏のドラムセットなんかはまさに要塞として有名です。
ドラマーとしては一度はこういうセットに触ってみたいと思ったりしますが、一体セッティングやチューニングにどれほどの時間がかかるのか、運搬にどれほどのコストが掛かるのか、セットの総額はいくらぐらいなんだろうか…と、様々な興味と疑問が湧いてきますね。
オマケ: PAさんの「3点で音くださーい。」について
ライブハウスでのリハーサルなどでドラムのサウンドチェックをする際、PAさんに「ドラムの音、3点でくださーい。」と言われることがよくあります。
この場合の3点とは、【ハイハット・スネア・バスドラム】の3つの事を言います。
基本的なリズムの軸になる3点のことですね。
PAさんは、リズムの中心となる音を調整するために「3点でください。」って言ってるのです。
そこで「あ…3点だから、タムとフロアタムとバスドラを叩けってことだな…おk。」と勘違いしてドコドコドコドコとタム類を叩いていると少し恥ずかしい感じに…。スタッフさんから生ぬるーい目で見られることになります。
そう。昔のわたしです。
まとめ
ここまで3点セットと4点セットの違いについて説明し、「初心者には3点セットがオススメ」と書いてきましたが、もちろん「初心者が4点セットで叩いてはいけない」というわけではありません。
自分に合っていて叩きやすいと思うセッティングでもちろんOK。あくまでも3点セットと4点セットはこういう考えを基準にセッティングをするといいですよーっていうオススメであり、ドラマー界隈での一般的な認識に過ぎません。
4点セットでバリバリ早いパンクロックを叩くドラマーもいますし、3点セットで超絶テクニカルなドラマーもいます。
実はドラムって、セッティングもチューニングにも絶対的な決まりなんてものは無い楽器なんです。
3点セットでも4点セットでも、それ以上でも以下でも、太鼓の配置だって各々のドラマーの好みで良いんです。
そのドラマーが叩きやすくて良い音で演奏出来るならそれが正解なんです。
今の自分の演奏技術・チューニングやセッティングの技術・使える時間・予算など。それらを総合して今の自分にあった最高のセッティングを目指していきましょう。