【ハンターハンター考察】 パクノダの想いと幻影旅団

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HUNTER×HUNTER
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初登場時の不気味すぎる外見から、幻影旅団の団員中で最も見た目が変わったと噂されるパクノダさん。

クラピカに念の鎖を刺され、【記憶弾メモリーボム】により幻影旅団の仲間に鎖野郎クラピカの情報と自分の想いを伝えて絶命するシーンは、敵サイドでありながらも切なく悲しい印象を読者に与えた名シーンです。

殺伐とした幻影旅団のメンバーの中でも、比較的人としての優しさや常識を持ち合わせているパクノダ。

そんなパクノダさんについて、詳しく見ていきましょう。

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パクノダの性格と優しさ

出典:集英社 HUNTER×HUNTER12巻 冨樫義博

荒くれ者が多い幻影旅団の中でも、かなり知性的で思慮深く、良識のあるのがパクノダという人物です。

能力から見ても、直接戦闘に関わるというよりは情報収集や交渉などで旅団のサポートに回るタイプで、直接的な戦闘向きのタイプではありません。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER38巻 冨樫義博

旅団結成過去回想の話を見ても、悪ガキたちの寄りつかないような教会で勉強していたり、少年クロロを支える優しいお姉ちゃんのような印象を受けます。(実際はクロロの方が年上)

そんなパクノダに対して少年クロロも「パクちゃん好きだぁ」と、無垢な笑顔を見せていました。

そんな優しさを持つパクノダにとって盗賊集団としての幻影旅団の結成は本望ではなく、クロロが「沢山の人間を殺す」と宣言した時は誰よりも絶望的な表情を浮かべていました。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER38巻 冨樫義博

元々気性の荒い性格のフィンクスと並んで描かれていることで、クロロの覚悟に対するそれぞれの受け取り方の違いが感じられます。

そして、メンバーが決起して腕を掲げるシーンでも、パクノダは服の袖をグッと掴んで気持ちを抑えている様子が伺えます。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER38巻 冨樫義博

実は少し前にクロロも同じ仕草をしているシーンがあります。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER38巻 冨樫義博

これは、緊張や恐怖などの感情を押し殺す時の無意識的な仕草だと思われますが、それをパクノダが自分でも気付かないうちにミラーリングしていたのではないでしょうか。

クロロの本当の優しさを知っていて、そんなクロロを好きだったパクノダ。

クロロの計画に全て賛同しきれない部分もありながらも彼の意思を尊重し、同じ悪の道を歩む事を選んだのです。

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念能力

出典:集英社 HUNTER×HUNTER12巻 冨樫義博

念能力系統は特質系。

冨樫義博展で公表された念の修練度は「優」と、まだ能力の伸び代は残されていたようです。

「対象者に触れることで記憶を読み取る能力」(特に能力名は明かされていない)と、「具現化した銃に弾丸を込めて撃つことで、対象者に読み取った記憶や自分の記憶を伝えることが出来る」【記憶弾メモリーボム】があります。

作中で使用はされませんでしたが、読み取った記憶の弾丸をその本人に撃つことで、その記憶を忘れさせる事も出来ます。(具現化した銃でシンプルに攻撃力することも出来るようです。)

彼女が亡くなる直前、記憶弾メモリーボムを放つ際に旅団結成時のメンバーでさえもパクノダが操作されているのではないかと疑っていたのは、彼女がこの能力を誰にも(クロロ以外には)明かさず隠し持っていた切り札だったからです。

「信じて受け止めてくれる?」

の一言で旅団メンバーがしっかりそれを信じて弾丸を受けたのは、結成時のメンバーとしての信頼関係があったからでしょう。

リンチ=フルボッコの能力の完全上位互換

出典:集英社 HUNTER×HUNTER37巻 冨樫義博

後のBW号編で登場したリンチ=フルボッコの能力「体は全部知っているボディアンドソウル」は、対象に質問を投げかけて殴ることで心の声を聞き出すというものでした。

この能力は、的確な質問をした上で対象を殴る必要があるため、戦闘能力で格上の相手に対しては効果を発揮するのが難しく、作中でもヒソカに扮したボノレノフにあっさりカウンターをきめられて気絶させられていました。

「対象に触れるだけで原記憶が読み取れる」というパクノダの能力が如何にヤバいチート能力なのかを改めて思い知らされます。

制約と誓約

「対象に触れるだけで記憶を読み取ることが出来る」という能力があまりに便利で強すぎるというのは、リンチの能力と比べてみるとよく分かります。

パクノダがそんな強すぎる能力を修得できたのは、やはり制約と誓約によるものでした。

38巻にて明かされた、パクノダの念能力習得時に決めた制約と誓約。

それは、

「一番大切な人に触れない」

というもの。

この「大切な人」というのはクロロのことを指していると考えられますが、その描かれ方が素敵。

38巻のおまけページで描かれたそのシーン

出典:集英社 HUNTER×HUNTER38巻 冨樫義博

一見なんでもない空白かと思いきや、前ページのクロロが透けて見えるという粋な演出になっています。

電子書籍では味わえない、紙の漫画本ならではの仕掛けでパクノダの決意と切なさを感じさせられる、冨樫先生のテクニックに脱帽です。

相手に触れるだけでその人の記憶や気持ちが分かってしまう能力…。

クロロのことを想うパクノダにとって、クロロの心の中を知ってしまうしまうことが怖かったのかもしれません。

だからこそ、この制約を「そんなに難しくない」と思えたのかもしれないですね。

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パクノダの想い

出典:集英社 HUNTER×HUNTER13巻 冨樫義博

パクノダにとってクロロは仲間以上の存在であったはずです。

クロロがクラピカに捉えられて幻影旅団がどう動くべきか内輪揉めしていた際、パクノダは「団長を生かしたい派」でした。

幻影旅団のルールを尊重してクロロを見捨てるべきか、それとも人質交渉に応じてクロロを奪還するべきか、その決断を委ねられる立場にあったパクノダ自身も迷っていました。

結果的にパクノダは団長を取り戻すべく行動し、クラピカの要求を全て受け入れることにしました。それがたとえ蜘蛛に対する裏切りでも。

おそらく団長を取り戻すと決めた時から、自らの命を犠牲にする覚悟は決まっていたと思われます。

人質の交換へ自分一人で向かう事を決めたのも、自分の得た情報や想いの全てを仲間に託すと決めた上での行動だったのでしょう。

そう決めたからこそもう、極悪非道な幻影旅団を演じる必要がなくなり、素の自分でいられるようになったのではないでしょうか。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER13巻 冨樫義博

そういう心情の変化を表すのが、人質交換からアジトへ戻る際の小さな一コマの、野良猫に微笑みかけるシーンなのだと思います。

あきひと
あきひと

このシーンを挟むことで本来のパクノダの優しさを垣間見る事が出来て、グッと胸にきますね。

記憶弾メモリーボムによって結成当時のメンバーに記憶を伝えたあとの、「全てわかった。パクノダは…」のあとの描かれなかったシーンでどんな会話があったのか…。パクノダの想いを知った団員たちが少し優しくなった気がします。

「パクは、お前らに感謝してたぜ」の意味

出典:集英社 HUNTER×HUNTER13巻 冨樫義博

パクノダの死後程なくして、オークション会場でフィンクス・フェイタンとゴン・キルアが出会うシーンがありました。

その際にゴンが「パクノダさん…も?」と尋ねた時、フィンクスは記憶弾メモリーボムによるパクノダの記憶をなぞりながら、

「パクは、お前らに感謝してたぜ」と、伝えました。

当初、この「感謝」とは、ゴンとキルアが逃げる事なく人質交換に応じてくれたことへの感謝だと思われていました。ゴンやキルアもそういう意味で受け取ったはずです。

しかし旅団結成の過去を踏まえて見てみると、見え方が変わります。

悪の道へと堕ちていくクロロを側で見て、本当はそんな事をしてほしくはないと思いつつも、流星街を守るためクロロと同じ道を歩んだパクノダ。

パクノダの本当の感謝とは、ゴンの「ほんとはクラピカに人殺しなんてしてほしくない」という言葉に自分の想いを重ね合わせたものだったのでしょう。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER13巻 冨樫義博

ゴンの言葉は、パクノダ自身が押し殺してきた思いを救ってくれていたのです。

本当は旅団員の誰よりも優しい心を持っていたパクノダ。そんな彼女の想いを踏まえて考えると、

死ぬ間際の「私で終わりに」という言葉は、「旅団員の中での犠牲が私で終わりに」というよりも、「クロロや流星街のために犠牲になるのは私で終わりに…という意味すらあったのかも知れません。

出典:集英社 HUNTER×HUNTER13巻 冨樫義博

そういう想いも含めてパクノダは記憶弾メモリーボムを放ったはず。それを受けた団員たちは、きっとパクノダの想いを受け止めたのでしょう。

だからこそ、フィンクス(とフェイタン)は2人を攻撃するどころか「パクはお前らに感謝してたぜ」と、わざわざ言葉にして伝えたのです。

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おわりに

ヨークシン編から20年以上の時を経て幻影旅団の過去が描かれた事で、団員たちのバックボーンが明らかになり、キャラクターがより魅力的に感じられるようになりました。

そんな中でも特にパクノダは見え方が変わって、個人的に好感度が大きく上がったキャラクターです。

あきひと
あきひと

個人的に好きなキャラクターランキング暫定1位です!

幻影旅団についてはまだまだ伏線や謎が残されていて、今後も新たな事実が明らかになるかもしれません。

それらが明らかになっていくにつれて、団員たちの魅力が深掘りされていくことを楽しみにしています。

でも、0巻の巻末の作者コメントの

「全員死にます」

が不穏すぎて泣きそうになりますね😭

パクノダの想いが報われますように…。

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