ドラムの演奏やドラム演奏動画を観ているとき、その演奏音の中で突然「拍手」のような音が鳴って「!!?」と驚いたことはないでしょうか。
僕はあります…。
初めてあの音を聴いた時は、まさかそんな音が生ドラムから鳴るなんて思いもしていなかったので衝撃的でした。
そんな「拍手」のような音(クラップ音)が鳴らせるのが、スタックシンバルです。
スタックシンバル(重ねシンバル)って何?どういうこと?どこで売ってるの?自分で作れるの?どんな使い方するの?
今回はそんなスタックシンバルについて紹介・解説していきます。
シンバルを重ねて使う「スタックシンバル」
そもそもスタックシンバルを目にする機会が少なく、実際に見た事があるというドラマーさんも少なくないでしょう。
スタックシンバルとはその名の通り、複数のシンバルを重ねてセットすることにより、その独特な音を鳴らすことの出来るシンバルです。
どんな音が鳴るか…参考動画を。
あえてシンバル本来の音の伸びを掻き消すことで、「ジャッ!」っという独特な音が鳴ります。
そしてシンバルの組み合わせ方によってはその音がまるでハンドクラップ(拍手)のように聞こえるのが不思議で面白く、それこそがスタックシンバルの魅力的なところです。
本来シンバルは「ジャーン!」という音を鳴り響かせる楽器なので、まさかそれらを重ね合わせてわざと音を掻き消してしまうなんて、御法度な使い方だと感じてしまいそうですよね。
だがそれがいい!そうすることでしか得られないパーカッシブなサウンドがそこにあるのです。
お手持ちのシンバルを複数枚重ねて叩くことも出来ますが、シンバルの割れや変形の原因になります。実行する場合は自己責任であることを覚悟しましょう。
なので基本的には、スタックシンバルとして販売されている既製品を使うことをおすすめします。
既製品・販売されているスタックシンバル
はじめてスタックシンバルを使ってみようとするなら、まずは既製品から。(むしろそうするのがオススメ)
スタックシンバルとして、重ねて叩くことを前提として作られている既製品の一例を紹介します。
イスタンブール Agop クラップスタック
お値段は張りますが、スタックシンバルとして理想的なクラップ音。
マイネル バイザンス スタックシンバル
Istanbulアゴップに比べるといくらかリーズナブル。
どちらが良いかはほぼ、それぞれ個人の好み次第だと思います。
プレイテック
コスパ重視ならサウンドハウスのプレイテックは必見。
ハンドクラップの音を電子パッドで出力する
とはいえシンバルを買うのは費用がかさむし手が出ない…という場合、いっそのこと電子パッドで出力するのもアリ。
個人的にはこの方法が一番現実的かつリーズナブルだと思います。もちろんハンドクラップだけでなく、様々な音を出力出できるのでめちゃくちゃ面白くてオススメ!
電子パーカッションパッドにも色々種類がありますが、使い方がシンプルでお値段も手頃な「Roland SPD ONE percussion」は初心者から上級者まで幅広くオススメできます。
スタックシンバルを自作する
スタックシンバル自作に適したシンバルそれでもやっぱり自分だけの音を追求したい!既製品では満足できない!と言う場合は、手持ちのシンバルを自分で重ねてスタックシンバルを自作することになります。
そのためにはそれなりの経験と勘が必要になりますし、当然ながらシンバルを買う費用も必要です。
資金面での問題をクリアするなら、割れシンバルなどのジャンク品を使うのがベター。
楽器屋さんで中古のジャンクシンバルが安く売られていることもよくありますし、メルカリやオークションでも多くのものが出品されているので、一度目を通してみるのをおすすめします。
スタジオやライブハウスでも中古割れシンバルが安く売ってもらえることも。お店のスタッフさんに聞いてみると掘り出し物を格安で譲ってもらえるかも。
注意点
やはり金物であるシンバル同士を重ねて叩くため、通常使用に比べて破損するリスクは非常に高いです。
擦れ傷や割れ、変形する恐れがあるため、楽器屋さんなどではスタックしての試奏はお断りされることが殆どだと思われますので、基本的に売り物で試奏することは出来ません。もちろん勝手にそのような試奏をする事は控えて下さい。
また、スタックシンバルを取り扱う際には自分自身の手指の怪我にも気を付けましょう。
スタックシンバルの使いどころ
スタックシンバルの音は他のシンバルと比べてもかなり独特で、サスティーン(音の伸び)を意図的にカットしているものです。
そのため他のシンバルのようにフレーズや小節の変わり目にアクセントとして叩くというよりは、スネアや他の太鼓類のようにリズムパターンの中に混ぜて使ったり、ここぞというフィルインの中で突然鳴らしてオーディエンスの意表をついたりするようなトリッキーな使い方をされる事が多いです。
もちろんスタックシンバルの使い方に決まりがある訳ではないですが、ドラマーとしての独創性や表現力を試される、そんな一面のある特殊なエフェクトシンバルなのです。
おわりに
スタックシンバルを自作する場合は特に、「やってみるまでどんな音が鳴るのかわからない。」という問題がありますが、逆にそれこそがスタックシンバルの楽しみでありの醍醐味でもあります。
たとえ同じシンバルでも、重ねる順番や向きによっても違ったニュアンスの音になります。
そしてそもそも、自らの手持ちシンバルをスタックシンバルとして運用するという試み自体がメジャーなことではなく、参考にできる前例が少ないはずです。
どのシンバルとどのシンバルを組み合わせたらどんな音が鳴るのか、一つ一つがほぼ手探りで自分の好みの音を探していくことになります。
だからこそスタックシンバルは面白く、自分だけの音を見つけられた時の喜びが大きいものです。
スタックシンバルに触れた事がないあなたも、機会が有れば一度はスタックシンバルを叩いてみたり、シンバルの組み合わせを模索してみたりして、その楽しさを感じてみてください。
きっとスタックシンバルの面白さにハマってしまうはず…。