ドラムで曲を演奏する時、曲の雰囲気や歌詞の内容などに合わせてリズムパターンやフレージングを使い分けすることが結構あります。
ドラムは打楽器なので他の音階楽器と違ってそう言った“曲の表情”を表現することは難しいのでは?と思われるかもしれません。
…が、実はそんなことはなくて、ドラムこそが曲の雰囲気、“感情”や“表情”を表現するのに一役買っているんです。
今回は、それがどういうことか?というお話を、きっとみんなが大好き【魔法少女まどかマギカ】のメインテーマソングの【コネクト】を例に解説していこうという試みです。
本記事は魔法少女まどかマギカ本編のネタバレを含みます。これから本編を視聴予定・視聴中の方はそっ閉じ推奨です。
コネクトのドラムとまどかマギカ
イントロ〜Aメロ
「交わした約束忘れないよ」の歌い出しから始まり、この曲のメインフレーズとなるイントロでは、物語の全体像を想像させるような力強さを感じさせるサウンドになっています。
1番のAメロは「バスドラム+ハイハット+クローズドリムショット」で静かめなサウンドになっていて、これから何かが起こりそうな期待と不安感を醸し出しながら、壮大な物語の始まりを感じさせるリズムになっています。
Bメロ
「とめどなく刻まれた時は今始まり告げ 変わらない想いを乗せ 閉ざされた扉開けよう」
という、物語が大きく動き出す予感を漂わせる歌詞。
その上でドラムのフレーズはAメロに似た雰囲気ですが、シンプルにバスドラムを四分で踏むことでより力強さを感じさせ、サビへと向かうにつれての盛り上がりを演出しています。
サビ
お馴染み、「目覚めた心は走り出した」から始まるサビ。
ほむらの確固たる決意や奮闘を思わせる歌詞。そこに乗せる8ビートにも力強さを感じられます。
「もう何があっても挫けない」で締め括られる1番サビ。
そこからイントロと同じメインテーマに戻りますが、そこでもほむらの繰り返す闘いを感じさせます。
2番Aメロ
前半「振り返ると仲間がいて〜」
1番のAメロとは変わって、ハイハットは八分、バスドラは四分のシンプルなビートで刻みます。
ズンズンと響くビート感が、ほむらの前向きな姿勢や覚悟を感じさせます。
そして、「気がつけば優しく包まれてた」という歌詞。
後半「何もかもが歪んだ世界で〜」
ここでシンプルな8ビートに切り替わります。
それまでのリズムパターンとのギャップを持たせることで、この至って普通の8ビートがグッと引き締まってカッコよく聴こえるんです。
個人的に、ここの8ビートがこの曲で1番好きなドラムと言っても過言ではないかも。
「”優しく包まれてた”という事実に甘えたままではいられない。」と悟り、結末を変えて見せると覚悟したほむらの思いが感じられます。
この8ビートの引き締まったカッコ良さが、ほむらが心を引き締めて孤独な闘いをしていく様とリンクして、胸が熱くなります。
2番Bメロ
「喜びも悲しみも〜」
4分踏みのバスドラで力強さを感じさせながらも、少し変則的なスネアやハイハットのフレーズが、闘いのなかで揺らぎ消耗していくほむらを暗示させているよう。
2番サビ
「交わした約束忘れないよ〜」
ここで曲の冒頭の歌詞をもってくる構成が素晴らしい👏
繰り返す闘いの中で疲弊していくほむら。
しかし、「交わした約束忘れないよ」と自分を鼓舞し、諦めずに闘い続けます。
そんな中で、徐々に彼女のソウルジェムは黒く濁っていきそうになるのですが、そんな「押し寄せた闇を振り払って進む」のです。
「どんなに大きな壁があっても超えて見せる」という決意とともに。
間奏
間奏の前半ははいわゆるリズム半落ち。
リズムを落とすことでズッシリとした重さを感じさせます。
さらに他の楽器(ギター・ベース・ピアノ・ストリングス)とバスドラムをユニゾンさせることでシリアスさやサスペンス性が強調され、絶望的な状況に心が折れそうになるほむらの心境が曲と重なります。
そして間奏の後半は8ビートに戻ることで、これまでの困難に屈せず闘ってきたほむらの姿を彷彿とさせます。
Cメロ
そしてついに物語(曲)はクライマックスへ。
「壊れた世界で彷徨った私は…引き寄せられるように辿り着いた。」
ついに辿り着いたこの世界線。
これまで幾つもの時間軸を移動し束ねてきた結果、まどかが強大な力を持つようになったからこそ辿り着く結末。
そのフィナーレへ向けて、カタルシスを爆発させるための助走がこのCメロです。
ハイハット刻みで静かにドラムが入り、途中からバスドラムを入れて徐々に盛り上がり、サビへ向けてのブレイク。
バンド的にはここのブレイクが1番気持ちイイところなので、しっかりとキメたいですね!
ラスサビ〜エンディング
ラスサビでは、この曲の主人公がほむら→まどかにバトンタッチしているのではないでしょうか。
「目覚めた心は走り出した 未来を描くため」
1番サビと同じ歌詞ですが、まどか視点で捉えるとまた違った覚悟や決意が感じ取れる気がしませんか?
ここからが本当の【魔法少女まどかマギカ】
そしてここからが曲中で最も盛り上がりを見せる大サビです。
“全ての魔女を消し去りたい”
という壮大なまどかの願いともに、この曲を締めくくる気持ちで演奏すると、めっちゃグッとくるドラムになるはずです。
終わりに
ここまで読んでくださったあなたはきっと、まどかマギカ大好きなドラマーさんですね。
もしここまで書いてきたことに少しでも共感してくれたなら、それはとっても嬉しいなって…。
この記事で書いていることはあくまで個人の見解です。
コネクトの作曲者である渡辺翔さんは、まどかマギカの内容を知らずにこの歌詞を書いたんだとか。マジかよ…。まさに、奇跡も魔法もあるんだよって話ですね。
そして聴けば聴くほどに、曲と歌詞に調和したドラムのフレーズが素敵な曲だと思います。
コネクトの他にも、ドラムやその他の楽器の演奏が、その楽曲の背景を感じさせる良曲はたくさん存在するでしょう。
とりわけアニソンなんかはそういった曲の背景が想像しやすく、世界観に没入しやすいので、楽器の演奏にも魂を込めやすいのがイイところですね。
曲や歌詞の雰囲気に合わせてリズムパターンやフィルインなどのフレーズを適宜調整しながら曲の土台を支える事が、ドラム演奏の大きな魅力の一つなのです。
ってお話でした!
コネクトのドラム気持ち良すぎだろ
それでは、素敵なドラムライフを!
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