ドラムという楽器の特性上、マイドラムを所有していて自宅で好きなだけ叩いて練習できるという人は少ないはずです。
だからこそスタジオやライブハウスでドラムセットに直接触れているときは気合が入るし、思いっきり叩きまくって自分のドラム捌きを聞かせてやるぜ!!
…という気持ちになるのはよく分かるのですが、そうやって何も考えずにドラムセットに座ってしまうと思いも寄らない事態になることがあったりします。
今回は、特に初心者の方が注意するべき、ドラマーが陥りがちな罠とその対処について解説します。
セッティング中に叩きまくらない
バンドの練習などでスタジオに入ると、まずメンバー各々が自分の楽器のセッティングを始めますよね。
僕たちドラマーも当然ドラムのセッティングをするわけです。
イスの高さ、シンバルの位置、太鼓の角度、スネアの鳴り具合etc…。
大部分は事前に調整しておくということが出来ないものなので、こだわり出したら時間が無限に掛かってしまいますよね。
そしてセッティングがいい感じにまとまってきたらとりあえずドラムセット全体で音を鳴らしてみることになると思います。
このとき最も気を付けてください!
音を鳴らすときは最低限の音量で、短時間でスマートに。
セッティング試奏のタイミングでバカスカと大音量で叩きまくったり、自らのファンキーなビートに酔いしれて延々と叩き続けてしまうドラマーが多いこと…。
スタジオ練習であれば、限られた時間の中でメンバーがコミュニケーションを取り合い、何をどうしていくか話合わなければいけません。ギターやベースのメンバーがコード進行について話し合っているのにドラマーがその邪魔をしてはいけません。
ライブハウスでのリハーサル時なんかは特に、ライブハウスのスタッフさんが音響の調整をしてくれていたり細かな指示やアドバイスをくれることもあります。
本番直前のスタンバイ時も同様です。直前に無駄にウォーミングで爆音出してるのは、客観的に見てあまりカッコよくないですよね。
いかなる時も、セッティングはスマートに、演奏は華やかに。
これが本当にデキるドラマーです。
緊急用のスティックを常備せよ
これはホントに僕も多いことなんですが、演奏中にスティックがすっぽ抜けて飛んでいってしまうことって、よくあるんですよ。
すっぽ抜けるだけでなく、演奏中の思いもよらないタイミングでにスティックが折れてしまうこともあります。
正しいスティックの握り方やフォームを突き詰めればそのような事故を起こす確率は下げられるのですが、こればかりはどうしてもある程度の確率で起きてしまうものです。
普段のスタジオ練習ぐらいならまだしも、ライブ本番でそのような事態に見舞われるとなかなか辛い思いをする羽目になります。
そんな時に素早く対応出来るように、あらかじめ予備のスティックを決まった位置にセットしておくことをお勧めします。
いちばんお手軽で分かりやすいのがバスドラの上ですね。
ただ、バスドラは常に踏んで振動しているため、場合によってはすぐにスティックが落ちてしまうこともあります。また、メーカによってはスティックを置いておきにくい構造になっていることもあります。
また、バスドラ上は客席側から見た時にもスティックが丸見えになることもあり、
なんとなく保険を掛けてるのがミエミエでカッコ悪い…と思う方もいるかもしれませんので、そこはご自身の判断でよろしくお願いします。
多くのドラマーが、スティックケースを開いてフロアタムなどに引っ掛けておくというスタイルをとっているのではないでしょうか。
これがいちばん現実的で緊急事に対応しやすいと思います。
ただ、スティックケースにいろんな種類のスティックが混在していて取り出すのに時間がかかるというような場合は気を付けましょう。
事前に最低限の本数で揃えておくか、緊急時に使うであろうスティックをサッと取り出せるような配置にしておきましょう。
他には、予備スティック用のホルダーなんかも販売されてはいますね。あまりそれを持参しているドラマーを見たことはありませんが…
他のドラマーと差別化したければ逆にそういうホルダーを意外な場所にセットしておくのも面白いかもしれません。
方法はどうあれ、いざと言う時のために予備のスティックを何処かにセットしておく事は強くおすすめします。
ハードウェアのネジ締め確認
ハードウェアというのは、シンバルスタンドやイスなどの、「直接音を鳴らす訳ではないけれど楽器を支えるための大切な金属類」だと思っておけば大丈夫です。
ありがちなのは、シンバルスタンドのネジがしっかり閉まっていなくて演奏中にシンバルがペロンと倒れる(最悪の場合スタンドそのものが倒れて楽器類の破損の恐れ)などですね。僕自身も何度か経験はありますし、客としてライブを見ている時にも起こります。
演奏中に椅子がストンと下がるとか、フロアタムが傾くとか、キックペダルのビーターが外れるとか…
ドラムのハードウェア一つの事故でバンドの演奏全体を台無しにしてしまうことも充分にあり得ます。
演奏前にネジ類の確認を癖づけましょう。
ドラムはみんなで使う楽器です
いや、ドラムだけでなくどんな楽器にだって言えることなんですが、楽器は大切に扱いましょう。
ドラムって楽器は力一杯がむしゃらにに叩くモノっていうイメージが一般的にはあるかもしれませんが、ただ闇雲に叩き回されると消耗も早くなりますし、予期せぬ事故にも繋がります。
スタジオやライブハウスのものだからって乱暴に扱うのは論外ですが、自分が使い終わったら極力もとの状態に戻して、次に叩く人がセッティングしやすい状態にしておきましょう。
(スタジオに入ると、たまーに「なんじゃこれ!!」って嘆きたくなる状態のドラムに当たることがあるんですよ…。そんなのに当たるとセッティングだけで小一時間取られたりして涙目になっちゃいます。)
楽器を大切に扱わない人に楽器の上手い人は存在しません。その人の普段の楽器への扱いが、その人の出す音になって表れます。
特にドラムという楽器は生音を響かせるものですから、その人の心が音に直結してきます。
ドラムが上手くなりたいのであれば、スティックひとつから大切に。
ドラムや音楽にとどまらず、全ての芸術やスポーツの基本ですけどね。
おしまい!
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